看護師として働く場所と聞いて「病院」や「診療所」を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。

転職を行う際に、病院や診療所以外に「訪問看護師」という選択肢もあります。

しかし、看護学校の実習で訪問看護ステーションに行ったきりで、仕事内容を詳しくご存じでない方も多いのではないでしょうか?

どんな仕事なのか見ていきましょう。

訪問看護師

訪問看護師とは

訪問看護師とは
訪問看護師について
全体的な概要や
増えているのか
減っているのか
などを知っておこう

近年、医療や介護を受ける場が病院から在宅へとシフトしています。

在宅で医療や介護受ける中で、患者様や介護者だけでは不安に感じることが出てきますよね。ここで活躍できるのが訪問看護師です。

訪問看護とは訪問看護ステーションから、病気や障害を持った人が住み慣れた地域やご家庭で、その人らしく療養生活を送れるように、看護師等が生活の場へ訪問し、看護ケアを提供し、自立への援助を促し、療養生活を支援するサービスです

平成27年の調査では、全国にある訪問看護ステーションの数は7473か所あり、平成22年度以降増加傾向にあります

訪問看護ステーションの数

出典:一般社団法人全国訪問看護事業協会

しかし、訪問看護師として働く看護師の人数は正看護師と准看護師合わせて4万人ほどです。これは、全看護師のうち2.8%に当たります

訪問看護師の割合1

訪問看護師の割合2

出典:厚生労働省 看護職員の現状と推移

単純に考えると、一つの訪問看護ステーションに対し名程5.4名程度の看護師が働いているという計算になります。

今後、さらに訪問看護ステーションの数が増えると仮定すると、訪問看護師として働く看護師の人数は、決して多くないといえます。

訪問看護師になれる条件

訪問看護師になれる条件
どんな人が
訪問看護師に
なれるのかな?
誰でもOK?

看護師の免許さえあれば、訪問看護師になることができるのでしょうか。

実は、訪問看護師になるための条件は「正看護師か准看護師の資格がある」ことだけで、特別な資格を取る必要はありません。

訪問看護師といえば経験豊富な方がしているイメージですが、なろうと思えば新卒の看護師も訪問看護師になることができるのです。意外ですよね。

しかし、新卒で訪問看護師になる方は少ないです。なぜかというと、ほとんどの訪問看護ステーションで「臨床経験3~5年」という条件での募集となっているからです。

実際に、2009年に行われた968か所の訪問看護ステーションを対象にした調査では、新卒者の採用はわずか2%となっています。

出典 新卒看護師を訪問看護ステーションで育成するための方策および課題 日本訪問看護振興財団

新人看護師の採用に積極的でない理由には、訪問看護師の仕事内容も関係しているのではないでしょうか。

訪問看護師の仕事内容

訪問看護師の仕事内容
訪問看護師は
どんな仕事をするのか
細かく見ていくよ

訪問看護師は各家庭を訪問した際、医師の指示所をもとに医療行為を行い、身の回りのケアを行います。

これだけを見ると病棟の看護師の仕事内容と同じですが、訪問看護師がいない時間も快適に過ごすことができるようフォローすることも重要となります。ここで紹介する以外に、訪問看護師の仕事内容は多岐にわたります。

訪問看護師は、医師からの「訪問看護指示書」をもとに医療行為を行います。訪問看護指示書には有効期限があり、医師の発行後半年間となっています。この指示書をもとに「訪問看護計画書」が作成されます。

指示はすべて医師が行います。しかし、医師の指示の下で行う看護やケアは訪問看護師の仕事です。この指示をもとに訪問看護計画書を作成し、医師や患者様・ご家族様の同意をもらいます。

この計画書がなければ訪問看護師は何も行うことができません。また、この計画書に乗っていないことをすることもできません。

①医師の指示による医療行為

病棟では医師の指示に沿って点滴の管理や採血を行いますよね。

訪問看護でも一緒です。インスリン注射や点滴の管理などがあります。また、医療機器を在宅でも使用されている方もいらっしゃいます。

人工呼吸器や在宅酸素療法をしている方に対しては、これらの機器の管理も必要となります。ほかにも膀胱留置カテーテルの交換をすることもあります。

②身の回りのケア

医療行為だけではありません。

  • おむつ交換
  • 食事介助
  • 口腔ケア

などに対して介助が必要な方も大勢いらっしゃいます。こうした日常生活に欠かすことのできない行動を家族様ができるようにフォローすることも重要なのです。

特に清拭や入浴は、患者様本人で行うことやご家族様の介助では難しい場合があります。こうした日常生活の援助を行うこともあるのです。

③快適に過ごすための援助

訪問看護師は何時間も同じ家庭で勤務するわけではなく、ほとんどの場合が30分から1時間半程度です。そのため、患者様やご家族様しかいない時間がほとんどです。

人工呼吸器を装着している患者様の場合の例で考えてみます。

もし看護師がいる時間に何か異変を知らせるアラームが鳴ったとしても、すぐ何が原因として考えられ、どんな方法で原因を解決すればよいか判断ができます。

しかし、看護師がいない時間に同じ状況となった場合、医師や看護師の到着を待っているだけでは患者様の命にかかわります。

そのため、患者様本人やご家族様で対応できる必要があります。

ほとんどの場合が、入院期間中に病棟の看護師から指導を受けています。しかし、退院して在宅での療養生活となってからも引き続き訪問看護師によるフォローが必要なのです。

また、体位変換は看護師がいない間も2時間~3時間毎に行わなければ、褥瘡の発生につながってしまいます。訪問看護師だけでなく、ご家族様の協力も必要なんですね。

④退院前カンファレンスの参加

皆さんも担当の患者さんが退院する際、カンファレンスを開いたことはありませんか?

退院した後も在宅で医療行為や看護が必要な場合、入院中と引き続きケアを受けることが重要です。

もし病棟看護師と訪問看護師の連絡手段がサマリーしかなければ、細かい内容まで伝えることは難しく、「同じケア」でなく「似たようなケア」になってしまいます。

もちろん、病院と在宅では環境や物品は異なります。しかし、違う内容を提供することになると患者様やご家族様は不安に感じることとなってしまいます。

そこで退院前カンファレンスに参加するのです。

病棟で行っているケアの方法だけでなく、患者様やご家族様の理解の程度など、文面だけではわかりにくいことを聞く機会になります。継続して看護を行っていくことが大切ですね。

⑤看取りのサポート

症状が悪化したら病院に入院するという選択肢をする患者様がいます。反対に症状が悪化しても自宅で過ごす、あるいは最後を自宅で過ごしたいと希望する方もいます。

患者様のQOLを尊重することが大切ですが、それに伴い看取りの看護も必要となります。在宅で療養している患者様のうち、10.9%の方が最後まで自宅で過ごしたいと希望していることが調査の結果わかりました。

終末期の療養場所に関する希望

出典:在宅医療の体制構築に係る指針 医政局指導課 在宅医療推進室 厚生労働省

在宅で看取りを行う際は、治療方針が「直すための治療」から「自然に死に向かう治療」に変化することを伝えるという、非常に難しい看護をしていかなければなりません。

訪問看護師は患者様が今後死に向かってどんな変化をしていくのか、どう対応するとよいのかを理解してもらえるように、状況を見ながら説明していきます。

患者様本人やご家族様が望んでいる最後をすごすためにとても大切な役割です。

訪問看護師の給料

訪問看護師の給料
訪問看護師の給料は
一般の水準と比較して
高いのか安いのか?
どのくらいだ?

では、訪問看護師の給料はよいのでしょうか。

日本看護協会が行った調査で「常勤看護職員平均給与の比較」というものがあります。

結果を見てみると、月額の給料では

  • 病院に勤務する看護師は244,042円
  • 訪問看護ステーションに勤務する看護師は234,048円

という結果になりました。

一年間の給料で見てみると、

  • 病院に勤務する看護師は4,904747円
  • 訪問看護ステーションに勤務する看護師は4,285938円

という結果になりました

看護職員の給与水準

常勤看護職員平均給与の比較(年齢31~32歳、非管理職、経験10年で設定)

出典:訪問看護の伸び悩みに関するデータ 日本看護協会

これだけを見ると、病院に勤務するほうがいいようにおもいますね。しかし、訪問看護師と働くことでメリットがあるのです。

メリット

訪問看護師として働くことは、次のようなメリットがあります。

①残業がない

女性は結婚や出産により、家庭と仕事との両立が難しくなる場合があります。

病院で勤務していると、勤務時間内にカルテを書くことができないことや、急変の対応などで時間通りに仕事が終わることはあまりありませんよね。家に帰ってから家事をする時間の確保が困難になることもあります。

また、お子さんがいらっしゃる方は、保育園のお迎えの時間を気にし、「周りはまだ仕事をしていても、自分だけは帰らないといけない」と、周りのスタッフに対し申し訳なく思っている方もいるのではないでしょうか。

訪問看護師は家庭と育児、仕事を両立しやすい仕事環境といえます。

急性期病棟や救急病棟で勤務をしていると、勤務終了時間間際に患者様が緊急入院をすることがありますよね。

このような場合でも対応をしなければならないため、長時間の残業をすることになります。

しかし、訪問看護を行う際は、患者様のご自宅に訪問する時間があらかじめ決まっています。そのため、訪問看護師は時間の管理がしやすくなります。

②夜勤がない

皆さんは夜勤がしんどいと感じることはありませんか?少ない看護師の人数で、日勤以上に過酷な状況になることも多々あります。

また、若い時は乗り切ることができても、年々夜勤がつらく感じてきますよね。時には夜勤明けの夕方に勉強会に参加しなければならないこともあり、疲れがとれないまま次の勤務となることもあると思います。

訪問看護師は、このつらい夜勤がありません。

病院によっては夜勤をしないと常勤看護師扱いをしてもらえないこともあります。そのため、夜勤をつらく感じても頑張って働いている方も多いのではないしょうか。

私の周りでも、「本当なら夜勤はしたくないけど、常勤で働きたいから夜勤をしている」と考えている看護師がいます。

訪問看護師は、夜勤をしなくても常勤看護師として働くことができます。魅力的に思えませんか?

③一つの病棟の中だけでなく、様々な環境で働くことができる

病院で勤務していると、他病棟への応援がない限りは自分の所属する病棟で勤務することとなります。たまには違う環境で働くことができればいいなと感じる方もいるのではないでしょうか。

訪問看護師になると、看護を提供する場が患者様のご自宅になります。そのため、一日のうちで何度も場所を変えて看護を行うことができます。

場所によっては、車や自転車での移動も必須となりますが、「車の運転が好き」「外を歩くことが苦に感じない」という方にとってはとてもいい環境ではないでしょうか。

デメリット

メリットについては先ほど書きました。しかし、訪問看護師として働くことでデメリットもあるのです。

①オンコール体制

訪問看護師は、基本的に夜勤はありません。しかし、訪問看護ステーションによっては、オンコール体制をとっているところもあります。

訪問看護師のオンコールは、訪問看護ステーションの携帯電話やPHSを自宅に持ち帰り、患者様やご家族様から連絡があったらご自宅に出向くというシステムです。

ほとんどのところが、在籍している看護師が順番に担当します。

もし電話がかかってこなければ、とくに何もする必要はありません。しかし、いつ何が起こるかはわかりません。「いつ電話がかかってくるかわからない」と気が休まらないと感じる方も多いようです。

2014年の調査の結果、1か月あたりのオンコールの回数が5~9回という回答が最も多く、46.7%にもなります。しかし、実際にオンコールにより出勤回数は1~2回が最も多く、41.0%という結果がでました。

雇用形態・オンコール待機回数

職位・オンコール待機回数

出典:訪問看護実態調査 報告書 日本看護協会

②待遇が良くないところもある

訪問看護ステーションを経営しているのはどこかということが大きく関係します。

大きな病院が経営しているのであれば、その病院と同じ待遇(年休や福利厚生)を受けられる権利があります。

しかし、訪問看護ステーションを経営しているのは病院だけではありません。また、少人数で訪問看護を実施しているところもあります。

平成20年の調査で、職員の数が少ないステーションほど赤字の割合が高く、利用者数が少ないステーションほど、赤字の割合が高いという結果がでています。

また、黒字のステーションは、赤字のステーションに比べて、職員一人当たりの給与費が少ないという結果もあります。

黒字/赤字ステーション別 職員1人1ヶ月あたりの訪問回数(常勤換算)

出典:訪問看護ステーション経営概況緊急調査報告書 全国訪問看護事業協会

訪問看護ステーションの経営状況によって、給料が良くなかったり、福利厚生のないところもあるようです。

訪問看護師になるのであれば、待遇も確認しておきたいですね。

看護師の福利厚生と待遇について

看護師の給料について

③様々な知識や技術がないと対応できない

病院で勤務していると、自分の所属している科を専門的に勉強して、患者様とかかわりますよね。病院の都合で、担当の科ではない患者様が入院されていることも多々ありますが、症状が軽い方が多いと思います。

整形外科病棟なのに、膵臓がんの手術後でドレーンが6本も入っているというような患者様が入院していることはありませんよね。

しかし、訪問看護師は、利用されている患者様の疾患すべてに対応できる知識や技術が必要となります。「神経内科はよくわからないので、この患者様のところは訪問できません」というわけにはいきません。

また、病院だと自分の経験したことのない技術があっても、ほかの看護師の指導を受けることが可能です。

しかし、訪問看護師は一人で患者様のところに訪問しますよね。点滴や膀胱留置カテーテルの交換はほとんどの方ができると思います。でもポートの管理をしたことがないという方もいるのではないでしょうか。

知識や経験がなくて患者様に看護が提供できなければ、患者様に迷惑が掛かってしまします。そのため、多くの知識や技術、経験を身に着ける必要があります。

逆に言えば、幅広い経験を得られるチャンスとも言えます。

まとめ

今後、医療はさらに在宅にシフトしていくと考えられます。

それに伴い、今まで以上に訪問看護師の重要性は高いものとなってくると考えられます。看護師としての働き方は様々です。

もし、仕事と家庭の両立で悩んでいる方がいれば、こういう働き方も考えてみるといいかもしれませんね。

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